はじめに

砂波紋

ガンという病気は耳に入るケースが多いです。そもそもどういった病気なのでしょうか。どういった治療をすればいいのか。ここでは「ガンの初期症状・早期発見の必要性・原因……ガンの基礎知識」についてご紹介しますので、まずは最低限度の情報を理解するようにしてください。

がんとはどんな病気なの?

レントゲン写真を見る医者3名

ドラマや映画でテーマに取り上げられることが多く、悲劇的なイメージがあります。大変な病気という印象を持たれている方々が多いかもしれません。大部分のガンは高齢者になるほど発病しやすいデータがあります。日本は高齢社会になっていますから、それに呼応するように癌の罹患率は増えています。加齢以外にもさまざまな要因が慣例しています。

最近の日本人の死亡原因の1位は癌になっています。実際の死亡者数も毎年増えている傾向にあります。ですが、医療の進歩もあって癌を早期に発見することで完治する可能性も増えています。癌は遺伝子の突然変異によってがん細胞が発生して増殖することで進行していく疾病です。

だから健康な人の身体の中でも毎日のように発生しているのです。しかし、驚くことはありません。人間の身体には免疫細胞があります。がん細胞が発生するために闘って駆逐しているわけです。こういったサイクルになっていればいいのですが、何かの原因によって免疫力が低下します。加齢によってがん細胞が駆逐されずに生き残ってしまうことがあります。そのまま、増殖して周辺の臓器に拡大することもあります。

血液に混じって遠隔臓器に転移して進行してゆきます。ですが、この進行は年数がかかります。がん細胞が小さい時期に治療をすれば完治を目指せるのです。

がんが小さい間に治療をはじめるには何をすればいいの?

(1)定期的に癌検診を受けて早期の癌を発見すること(2)初期症状に注意することの二つがあります。癌の病気では自覚症状がなく進行することもあります。しかし、症状がでてくるものもあるのです。早期発見するためには体調の変化を日常的に観察することが大事です。

癌の種類によっては発生率が男女で違いがあります。性別に応じた症状にも注意をしておきたいですね。初期症状を注視することだけでなく、癌そのものを予防することも意味があります。生活習慣を見直すことが提唱されています。

早期発見することでがん治療の成功は大きく変わってきます!

MRIで検査を受ける女性

早期に癌を見つけることが大切なのですが実際には「気がついたときには遅かった。ステージIVだった」ということも少なくありません。その理由は、初期段階で無症状であったり、症状に乏しかったりすることが多いからでしょう。

例えば、内臓に出来た癌です。強い痛みや出血を伴う症状がでてくる頃はすでにかなり進行しています。癌の早期発見には定期的に癌検診を受けることが大事です。体重減少・痛み・疲労感が癌の初期症状のケースもあります。簡単に考えることなく、身体の小さな変化も敏感に考えるようにしておきたいですね。

男性と女性では罹る癌の種類に違いがあります

カップルの組んだ手でハートマーク

高齢者になってくると癌になる確率も増えてきますが、50代頃から増えてきます。そして、男性と女性では罹りやすい癌の種類が異なります。
・日本人男性の罹患数が多い癌
(1)胃がん(2)肺がん(3)前立腺癌(4)大腸がん(5)肝臓がん

・日本人女性の罹患数が多い癌
(1)乳がん()2)大腸がん(3)胃がん(4)肺がん(5)子宮がん

生活習慣も違うのですが、男性と女性の身体の違いが基本的にあります。こういった理由がありますので、男性と女性のがん定期検診では、異なった検査メニューが用意されます。

がんの初期症状にはどういったものがあるのでしょうか?

検査結果

がんを早期発見するために大切なことは初期症状を見逃さないこと。がんの種類によっては、ほとんど初期症状がない場合もあります。できるだけ軽度な状態で症状に気付くことがポイントになります。がんの種類で症状の出方が違いますので、ここでは代表的ながんの症状をご紹介しましょう。

(1)しこりを感じられる

乳がんの場合に特徴的です。ご自身で胸を触れて確認してみることができます。乳がん以外では甲状腺がんも喉の周辺にしこりができる特徴があります。

(2)出血の影響が見られる

身体の中にがんが広がってくると出血が起こります。出血による影響では次のような症状があります。

1番目は「便の色が異常になること」です。
大腸がんになると腸内が出血して血が混ざっている便が出るようになるのです。胃がんになると上部の消化管からの出血で黒い色の便(タール便)になることもあります。

2番目は「血尿」です。
膀胱や腎臓など泌尿器に影響があるがんになると血尿がでてきます。

3番目は「血痰(けったん)」です。
肺がんになると、気管支や肺組織から出血してきますので血痰がでてきます。

4番目は「貧血」や「めまい」です。
胃がん・大腸がん・白血病など血液疾患になると出血症状として、貧血やめまいが頻繁に起こります。

(3)体重の減少が見られる

体重が減ることは多くのがんで見られる症状で、特に著しく体重減少が見られる場合は要注意です。何らかの器官にがんが発生している可能性が高いです。

がんのリスク要因として考えられることが「喫煙」「過度のアルコール摂取」「運動不足」「食生活の乱れ」など生活習慣に関係してくることです。高齢になればなるほど、がんの発生率が高まります。加齢もリスク要因として考えられます。

がんの原因になるのは?

路上に捨てられたタバコ

私達が生活している環境には「発がん性化学物質」が存在しています。社会が発展してきた代償として、本来地球には存在しなかった色んな化学物質が生み出されています。その中には、明確に発がん性が確認されているものもあります。

(1)煙草の煙(2)車の排気ガス(3)工場からの煙(4)建築に使用されてきたアスベスト・石綿などが、有害な化学物質が含まれるものとして知られています。

普段食事をする食品にも発がん性がある食品点果物が使われることもあるので注意しましょう。具体的にどういった発がん性物質があって、どのようながんの原因になっているのかを説明してまいります。

発がん性物質の代表格……煙草

煙草は肺がんだけでなく、色んながんのリスク要因として知られています。約 5300種類の化学物質が含まれる煙草の煙。このうち70種類は明らかな発がん性が認められています。代表的な発がん性物質で「アセトアルデヒド」や「ベンゾピレン」があります。

煙草の煙に含まれる有害物質は主流煙だけではありません。副流煙にも含まれます。喫煙している本人だけでなく、周囲にいる方々にも受動喫煙してしまいます。体内に取り込むリスクがあるので注意しましょう。煙草を吸っているご家族がいるご家庭の肺がん罹患率は、そうでないご家庭と比べて2倍のリスクがあるデータがあります。

自動車から排出される排気ガス

煙草の煙だけでなく、工場からの煙や自動車の排気ガスも発がん性物質を含みます。「ダイオキシン」や「ベンゼン」なども発がん性物質が入っています。特に有名なものはディーゼル車から排出される排気ガス。これには大量の発がん性物質が含まれています。大都市を中心にディーゼル車の規制が行われています。

ディーゼルの車両本体も有害な物質を排出しないような構造になってきています。日本国内のディーゼル車の排気ガス問題は大きく改善されています。

化学物質を取り扱う工場など、特定の職場に存在する発がん性物質

有名なものは社会問題にもなった「アスベスト」でしょう。断熱性や保温性に優れた石綿(アスベスト)は昔からブレーキパッドや建築物に使われてきました。日本国内だけでなく海外でも発がん性が指摘されましたので、規制されるようになってきています。

新規に使用されることはなくなりましたが、古い建物が解体される場合には大量のアスベストが飛散するリスクがあります。作業員やご近所にお住まいの住民への健康被害が心配されています。

アスベスト以外には、印刷工場や染め物工場など、日常的に化学物質に接触する職場も要注意です。従業員に特定のがんが多発するケースも報告されています。日本国内では2012年(平成24年)に大阪の印刷工場で勤務していた労働者に胆管がんが集団発生しました。印刷業務に使用されていた「ジクロロプロパン」が原因物質として疑われました。

口から入る加工食品に含まれる食品点果物にも発がん性物質があります

発がん性が疑われている食品点果物はベーコンやハムなど加工肉に使用されている硝酸塩があります。2015年(平成27年)10月に国際がん研究機関(IARC)が「ハムやソーセージなどの加工肉を1日50g以上摂取すると、大腸がんのリスクが約18%上がる」と発表しました。世界を席巻した情報になりました。加工段階で使用されている添加物の影響が大きいと判断されています。特定の食材の偏ることなく、バランスよく摂取する食生活を心がけてください。

化学物質がどのようにがんを引きおこすのでしょうか?そのメカニズムを理解しましょう!

煙突から煙を出す工場

発がん性物質が実際にどのようにがんを発症するのか煙草を例にあげて解説します。

1……発がん性物質が気管支の細胞に取り込まれます。
「ベンゾピレン」など数10種類の有害物質が煙草の煙に含まれます。喫煙者本人や周囲にいる受動喫煙者が煙草の煙を吸い込んでしまうと、肺の細胞や気管支の細胞に有害物質が取り込まれてしまいます。

2……発がん性物質が細胞の核の中をあちらこちらへ浮遊します。
細胞の中に取り込まれてしまった発がん性物質は、ふわふわと浮遊するように細胞の核の中を移動します。核には4つの塩基(A・T・G・C)が組み合わさってできたDNA(らせん状の2本鎖)があります。通常は、この中に外部から物質が侵入することはできません。

3……細胞分裂のタイミングで発がん性物質がDNAに入り込んでくる
通常はきっちりと結ばれているDNAの2本鎖がゆるむ瞬間……それが細胞分裂をするときです。1個の細胞が2個に分裂しますので、DNAの2本鎖は一度、ほどけて1本ずつになって、それぞれが分離するのです。

端の部分から順番に、もう1本の鎖を構成する塩基(A・T・G・C)が結びついてゆきます。2本鎖が2つ完成して細胞分裂が完成します。このいったん、ほどけたタイミングで核の中に浮遊していた有害物質が紛れ込みます。正常な塩基と間違ってしまって結び付いてしまうことがあります。

通常、塩基は「GとC」「AとT」がペアになって結びつきます。しかし、「Gと有害物質」がむすびついてしまうと、正常な細胞分裂ができなくなります。間違ってしまった遺伝情報を持つ細胞が新しく分裂をくり返します。どんどんと異常な細胞が増殖されています。これががんのメカニズムなのです。

人間の身体は間違った遺伝子情報を持った細胞が生まれても、修復したり排除したりするメカニズムがあります。けれどもストレスや疲労・高齢で免疫力が落ちたり、生まれつきがんを抑制する遺伝子に異常があったりあればどうでしょうか。がん細胞の増殖をストップできません。

身近にある発がん性物質が引き金になってがんになる確率はゼロではありません。予防できることはできるだけ心がけるようにしましょう。禁煙したり、食品添加物を意識的に避けたりすることはできるのではないでしょうか。

まとめ

女医

いかがでしたでしょうか?

ガンの初期症状・早期発見の必要性・原因……ガンの基礎知識について、ご紹介してまいりましたので、基本的なことはご理解いただけたと思います。別ページでさらに詳しくご紹介していますので、参考にしてください。